神を恐れよ
結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。(伝道者12:13)
『伝道者の書』も、いよいよ最終章だ。
あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。わざわいの日が来ないうちに、また「何の喜びもない」と言う年月が近づく前に。(1)
「あなたの創造者を覚えよ」と言われている。
「キリスト教に入信せよ」ではない。
大事なことは、自分の創り主なるまことの神に出会うことであり、宗教や何らかの組織に入ることではない。
若き日に創造主なる神を知ることができれば幸いだ。
太陽と光、月と星が暗くなる前に。また雨の後に雨雲が戻って来る前に。その日、家を守る者たちは震え、力のある男たちは身をかがめ、粉をひく女たちは少なくなって仕事をやめ、窓から眺めている女たちの目は暗くなる。(2-3)
伝道者は、再び「日の下」、つまり地上の有り様に目を向ける。
すべては変わり行き、生まれては消える。
人々はまた高いところを恐れ、道でおびえる。アーモンドの花は咲き、バッタは足取り重く歩き、風鳥木は花を開く。人はその永遠の家に向かって行き、嘆く者たちが通りを歩き回る。・・・土のちりは元あったように地に帰り、霊はこれを与えた神に帰る。空の空。伝道者は言う。すべては空。(5・7-8)
「日の下」の世界は、本質的に空しい。
知恵のある者たちのことばは突き棒のようなもの、それらが編纂された書はよく打ち付けられた釘のようなもの。これらは一人の牧者によって与えられた。(11)
「一人の牧者によって」とは、主イエスを想起させる言葉だ。
この牧者は、「知恵のある者たち」を通して、聖書を編纂された。
わが子よ、さらに次のことにも気をつけよ。多くの書物を書くのはきりがない。学びに没頭すると、からだが疲れる。(12)
人類は、いままでどれくらいの書物を書いてきたのだろう。
世の真理を探究し、思索し、それぞれの思うところを書き残してきた。
その数は、膨大過ぎて想像もつかない。
そして、それらはたしかに「きりがない」。
あれが真理か、これが真理か、と探しているうちに人生は終わっていく。
結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。(13)
伝道者が、最終的に見出した答えがこれだ。
「すべてが聞かされて」いたのだ。
だから、
あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。(1)
もし、あなたが老境にあり、人生の終わりを迎える段階にあったとしても、「あなたの創造者を覚えよ」。
そこに立ち返ることができるのは、もっとも幸いなことなのだ。
神は、善であれ悪であれ、あらゆる隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからである。(14)