あなたの愛は、ぶどう酒にまさって麗しく
あの方が私に口づけしてくださったらよいのに。あなたの愛は、ぶどう酒にまさって麗しく、あなたの香油は香り芳しく、あなたの名は、注がれた香油のよう。そのため、おとめたちはあなたを愛しています。(雅歌1:2-3)
『箴言』『伝道者の書』と来て、さてどうしようかと迷ったが、『雅歌』もソロモンによるとなっているので、勝手に「ソロモン三部作」として『雅歌』に進むことにする。
ソロモンの雅歌(1)
「雅歌」という言葉は、直訳では「歌の中の歌」という意味だそうだ。
ここでは男女の愛(もっと言えば恋愛)を描きながら、神と人との関係を描き出している。
恋愛はいつの時代でも、文学や演劇、音楽など、あらゆる芸術の源泉となってきた。
ふだん詩心など無い人であっても、恋に落ちると途端に詩人になる。
いわゆる“恋の病”というやつだ。
寝ても覚めてもその人のことを思い、その人のために自分を磨こうとする。
聖書に『雅歌』という特殊な書が収められているおかげで、わたしたちは、神がそのような恋愛の情を決して否定しておられないと知ることができる。
むしろ、神が与えられた自然な感情であり、自然な姿といえるのだ。
さて、『雅歌』には「あの方」が登場する。
あの方が私に口づけしてくださったらよいのに。(2)
いきなり熱い告白だ。
彼は、多くの娘の憧れの的だ。
私たちはあなたにあって楽しみ喜び、あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえます。あなたは心から愛されています。(4)
彼に見つめられ、声をかけられ、共に過ごすだけで、娘たちは天にも昇る幸せを覚える。
私は黒いけれども美しい。あなたがたは私を見ないでください。私は日に焼けて、浅黒いのです。(5-6)
娘は、「あの方」に見初められたいと日焼け止めクリームを塗ったりはしない。
自分は日に焼けて黒いけれども、それだけ働き者なのだと言っている。
そんな彼女に、「あの方」から驚くべき言葉がかけられる。
女の中で最も美しいひとよ。(8)
神は、人が見るようには人を見ない。
ああ、あなたは美しい。わが愛する者よ。ああ、あなたは美しい。あなたの目は鳩。(15)
このような声をかけられたことがあるだろうか。
嘘偽りのない言葉で。
驚くべきことに、聖書全体を通して、神はわたしにも、あなたにも、そう語りかけておられるのだ。
わたしたちは、何と答えようか。
私の愛する方。ああ、あなたはなんと美しく、慕わしい方。(16)