元気を出しなさい
「ですから、皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じています。私に語られたことは、そのとおりになるのです。」(使徒27:25)
この章も、『使徒の働き』の中でもきわだって印象的な章だ。
イタリアに向かって出航した267人を乗せた船が、大嵐に遭い、二週間もの間漂流したのだ。
地中海の危険性をよく知るパウロは当初、警告した。
しかし百人隊長は、パウロの言うことよりも、船長や船主のほうを信用した。(11)
無理もない。
パウロは囚われの身の「天幕職人兼伝道者」にすぎない。
船長たちのほうが、プロなのだ。
さて、穏やかな南風が吹いて来たので、人々は思いどおりになったと考え、錨を上げて、クレタの海岸に沿って航行した。ところが、間もなくユーラクロンという暴風が陸から吹き降ろして来た。(13-14)
自分の望む方向に"風"が吹きだすと、「それ、みこころだ」とばかりに突進するのは、よくあることだ。
そんなときは、決まって聞く耳がない。
やがて、どうにもならないほどの暴風に翻弄され、当てもなく流された。
太陽も星も見えない日が何日も続き、暴風が激しく吹き荒れたので、私たちが助かる望みも今や完全に絶たれようとしていた。(20)
そんな中、パウロが立って言った。
「しかし今、あなたがたに勧めます。元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う人は一人もありません。失われるのは船だけです。・・・ですから、皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じています。私に語られたことは、そのとおりになるのです。」(22・25)
さらにパウロは、食事をとるよう勧める。
「ですから、食事をするよう勧めます。これで、あなたがたは助かります。頭から髪の毛一本失われることはありません。」こう言って、彼はパンを取り、一同の前で神に感謝の祈りをささげてから、それを裂いて食べ始めた。それで皆も元気づけられ、食事をした。(34-36)
「神を信じている」人は、神から元気づけられ、人々を元気づける。
私も、そんな人になりたい。
「しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」(ルカ22:32)