ヤコブは自ら彼らの先に立って
ヤコブは自ら彼らの先に立って進んだ。彼は兄に近づくまで、七回地にひれ伏した。(創世記33:3)
遠くに兄が見えた。
子どもたちを、その母親ごとに分け、自らは先頭に立った。
最後尾に位置したきのうまでのヤコブとは、まったく違っていた。
ああでもない、こうでもないと、小賢しく頭をひねくり回すヤコブはもういない。
いまや足を引きずりながら、弱々しいままで、兄の前に出よう。
主がともにおられるのだから、何も案ずることはない。
兄がどうであろうと、すべて主のなさること、主におゆだねすればよいのだ。
エサウは迎えに走って来て、彼を抱きしめ、首に抱きついて口づけし、二人は泣いた。(4)
昔、『それは秘密です!!』というテレビ番組があった。
何十年も音信不通だった家族と再会する「ご対面コーナー」が忘れられない。
幕が上がった瞬間、家族が抱き合い、言葉もなくただ泣くのだ。
それを見て司会の桂小金治さんももらい泣き、というのがお決まりだった。
肉親ゆえに難しい関係にもなるが、肉親ゆえに言葉を超えて分かり合うこともできる。
まして双子の兄弟ならなおさらだ。
共に歩まれる主だけを信頼し、人間的な小賢しさや恐れから解放されたヤコブ。
足を引きずり、けっして格好良いとは言えないが、これが本当の信仰者の姿なのかもしれない。
あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。(詩篇37:5)