自分の唇を制する
ことば数が多いところには、背きがつきもの。自分の唇を制する者は賢い人。(箴言10:19)
10章からは、正しい人と悪者を対比させた短い格言が並び、テンポ良く読める。
中でも、言葉に関する教えが多い。
無駄口をたたく愚か者は滅びに落ちる。(8・10)
正しい人の口はいのちの泉。悪しき者の口は不法を隠す。(11)
悟りのある者の唇には知恵があり、良識のない者の背中にはむちがある。(13)
知恵のある者は知識を蓄える。愚か者の口には滅びが迫る。(14)
憎しみを隠す者は偽りの唇を持ち、そしりを口に出す者は愚かな者である。(18)
といった具合で、冒頭の19節もそうだ。
人は、言葉によって元気づけられ、言葉によって傷つく。
言葉によって教えられ、言葉によって惑わされる。
言葉は形あるものではないにもかかわらず、何にもまさって、わたしたちにダイレクトに影響する。
そして、上のみことばを見てもわかるように、もっとも大切なのは、外からの言葉ではなく、わたしたちの内側から出てくる言葉だ。
ことば数が多いところには、背きがつきもの。
「ことば数が多い」とは、思慮深くないということだ。
思いついたことを、何の考えもなく、すぐ口に出す。
こう書きながら、自分が恥ずかしくなる。
わたしは、まさにそういう者だからだ。
わたしが知る、“主のしもべ”として尊敬する人たちは、みな一様に“静けさ”を持っておられる。
無口とも違う。
恥ずかしがり屋とも違う。
快活な明るさに満ちていながら、言葉は時宜にかなっており、人が耳を傾ける。
自分の唇について、どれほど祈っても十分とは言えない。
きょうもまた、切に祈ろう。
正しい人の唇は多くの人を養い、愚か者は良識がないために死ぬ。(21)
悪いことばを、いっさい口から出してはいけません。むしろ、必要なときに、人の成長に役立つことばを語り、聞く人に恵みを与えなさい。(エペソ4:29)