ミディアン人に主の復讐をするため
そこでモーセは民に告げた。「あなたがたのうち、男たちは戦のために武装せよ。ミディアン人を襲って、ミディアン人に主の復讐をするためである。」(民数記31:3)
主はモーセに、最後の仕事を言いつけられた。
主はモーセに告げられた。「あなたは、イスラエルの子らのために、ミディアン人に復讐を果たせ。その後で、あなたは自分の民に加えられる。」(1-2)
復讐とは、「ペオルの事件」に対するものだ。
ミディアン人に惑わされ、イスラエルの多くの者が偶像崇拝に陥り、死んだ。
その復讐をせよ、ということだ。
このような箇所を読むと、神が戦争を命じているのかと、いぶかる人も多いことだろう。
事実そうではあるが、解説を見るとこうある。
「これは、主がイスラエルを用いてミデヤンに与える罰である」
神はミディアン人の退廃ぶりを見て、ノアの洪水のときのように、さばこうとされているのだ。
12千人の戦士が選び出され、ミディアン人を襲い、すべての成人男子を殺した。
しかし、女性や子どもは捕らえて連れて来た。
これに対してモーセは激怒し、処女以外はすべて殺すよう命じる。
子どもの男子も容赦しなかった。
このようなモーセの指示も、現代の日本人としては大きな抵抗感を禁じ得ない。
もちろん、このような殺害を、今日正当化することは許されない。
ひとつ注目したいのは、あのバラムもさばかれたことだ。
また、ベオルの子バラムを剣で殺した。(8)
彼はかつてイスラエルを呪うために雇われ、かえって祝福してしまった人物だが、ペオルの事件の首謀者と言われている。
聖書には、解釈に苦しむ箇所も多々ある。
しかし、意味がないことは一つもない。
自分勝手な解釈だけは、避けたいところだ。
「けれども、あなたには少しばかり責めるべきことがある。あなたのところに、バラムの教えを頑なに守る者たちがいる。バラムはバラクに教えて、偶像に献げたいけにえをイスラエルの子らが食べ、淫らなことを行うように、彼らの前につまずきを置かせた。」(黙示録2:14)